このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
160号 に掲載された記事です

ルアーをステイさせることの重要性

ルアーを自分なりのテクニックで泳がせていると、追ってくる魚が見えたりする。見えているターゲットを狙って楽しむ釣りを、最近ではサイトフィッシングと呼んで、好んでいるアングラーが多くなった。

 このサイトフィッシングで、追ってくる魚が戻っていく悔しさを味わった経験が、多くのアングラーにあるんじゃないかな。一生懸命自慢のテクニックを駆使しても、足元から引き返す姿を見ると残念でしょうがないよね。

 ルアーの中でもミノーを使っていると、自分から見える位置でルアーを追ってくる魚に出会いやすい。それだけに、ミノーイングのテクニックしだいで、アングラーを興奮させることになる。

 今回は、そのミノーを使ったテクニックのひとつでもある、ステイさせることの重要性について、お話をしてみようと思う。ルアーのステイがどれだけ大切なのか、ちょっとでも今度の釣りに活用してもらえると嬉しいな。

 まずステイという意味について、簡単に補足説明しておこう。そのまま直訳すると、滞在するな〜んて意味になっちゃう。まあルアーフィッシングの場合も、意味合いとしては似ているかな。そこにルアーを滞在させると考えてもらえれば、意味が分かりやすいと思う。

 ロッドやリールを巻くことによる操作で、ルアーに命を吹き込むでしょ。一定のリズムでトゥイッチしてみたり、スローなリーリングをしてみたりする。自分が絶対だと思っていたアクションで、「スィ〜」って戻って行かれちゃったらショックが大きいよねぇ。

 そこで思い出して欲しいのが、今回のテーマである、ステイさせることの重要性なんだ。一定リズムでバイトさせるのもいいし、イレギュラーなアクションでバイトを誘うのもいい。だけど最後の決め手となるのは、魚がバイトしそうになった時、一瞬だけでいいから「食わせの間」を与えてやることなんだ。

 ここでいう「食わせの間」とは、ルアーを追ってきた魚がしっかりと咥えやすいタイミングを与えてやるって意味だ。だからルアーをニセモノのエサだと見破られることなく、1秒にも満たないタイミングでバイトしやすい状況を作り出すことが大切なんだ。

 たとえばメッキをミノーやトゥイッチャーで狙っている場合、足元まで追ってきて戻っていくことは多く経験しているだろう。どんなに上手にルアーを動かすことができたって、たくさんのアングラーがこれを経験しているはず。

 それは単純に、ルアーやアングラーに対してのプレッシャーを、メッキ自身が感じているからだと思っていい。そのポイントでのファーストキャストにしか反応しないって話を耳にするけど、まさにそれがその状況なのだろう。

 2投目以降のルアーには、おそらく見向きもしないケースが多いと思うけど、それじゃあ手遅れだ。何としても、ファーストキャストで確実にバイトさせたい。そのためにアングラーとしては、ファーストキャストの重要性を認識して、そのキャストでのアクションで確実にバイトさせることが絶対条件となる。

 そこで絶対に試してもらいたいのが、このステイの操作だ。追ってくるメッキがなかなかバイトしてこなかったら、わずかにスピードを上げるか、もしくはアクションをちょっとだけ激しくしてみたり、キビキビ感を強く出してみる。

 これでバイトしなければ、そのメッキはかなりのツワモノと考えていいだろう。そこでいよいよ「ステイ」の登場となる。一定リズムでリーリングやアクションを加えている最中に、一瞬だけ操作を止めてやるのがステイの理想的なテクニックだ。

 見破られない程度であることが重要なので、ホントに一瞬だけのステイだ。時間にしたら、ほんのコンマ数秒。実際にやっている操作を見ないと分かりづらいかもしれないけれど、何度かやっていると魚の反応でなれてくるはず。

 これはミノーだけのテクニックじゃなく、メタルジグでも同じように応用できる。たとえば深いレンジから誘い上げる時、一定のリズムから一瞬だけストンとジグの頭を下げる程度に止める。この水平フォールによって、反応が良くなる。


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