このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
163号 に掲載された記事です

バーブレスフックで安全に釣ろう

ライトルアーに限らず、ルアーのフックに要求される機能はなかなか厳しい。ターゲットを確実にフッキングさせて、そしてバラスことなく確実にキャッチする。簡単なようで、実はなかなか難しいことだ。

 フックの形状にはさまざまなタイプがあるけれど、その性能を維持するために、形状で異なる部分があるのを理解しているかな。それは針先の鋭さだ。人によっては、フックのバーブ、つまりカエシの部分が重要だと信じきっているアングラーもいるようだ。もちろんそれも間違いではない。

 ところがこのフックのバーブは、状況によってフッキングを妨げたりもする。意外な感じを受けるかも知れないだろうけど、これは紛れもない事実なのだ。たしかにバラシという面を考えると、気分的にもバーブが重要と思われやすい。

 では、フックのバーブは何のためにあるのだろう。それは、ヒットさせたターゲットを、フックアウトさせないためのものと考えていい。つまりバーブがあることによって、万一ラインが弛んでしまっても、簡単にはバラシにつながらないようにするための形状と言える。

 実はここにヒントが隠されているのだ。フックのバーブは、ヒットさせたターゲットを、不意の動きによってバラシてしまわないようにするために、重要とされている部分なのである。ところがこのバーブの存在こそが、実はバラシを増やしていることがあるのである。

 これは賛否両論かもしれないけれど、フックのバーブは無い方がバラシにくいケースもあると断言しておこう。言い換えれば、バーブレスフックを使うことによって、バラシが減る可能性もあるということだ。この部分について、もう少し説明しておこう。

 まずはフックが魚の口に刺さるときをイメージして、どんな状態で貫通するかを考えて欲しい。この「貫通」という部分が微妙な意味を持つことになる。フックが魚の口を貫通するときには、フッキングパワーと呼ばれている力が必要とされる。それではこのパワーとは、どんなものなのだろう。

 針先が魚の口の中へと刺さるときに、アワセもしくは向こうアワセという状態になる。つまり魚の口の中へ針先が刺さるときには、針先が口のある部分を押し広げながら刺さることになる。つまり口のその部分を押し広げながら刺さっていくのに必要な力こそが、ここでいうフッキングパワーなのである。

 ここまで言えば、懸命なアングラーは理解していただけるだろう。口のある部分を押し広げながら刺さっていくので、フックは細ければ細いほど刺さりやすい。つまりそれだけ貫通するときの力が少なくて済むという訳なのだ。

 もしフックが貫通してなかったとしたら、中途半端な状態で魚とやり取りをすることになる。貫通していれば安心してやり取りできるのだけど、確実に貫通していなければ、ジャンプなどでバラシてしまう可能性は高くなってしまうのだ。

 だからこそ、確実にフックを貫通させることが重要であり、そのためにはフッキングパワーを小さくすることが必要なのだ。フッキングパワーを小さくする方法として、フックの断面積を小さくすることが、もっとも手っ取り早い手法なのだ。そしてその結果として、バーブレスフックを選ぶことになる。

 このようにバーブレスフックの有効性を説明したけれど、必ずしもすべてのターゲットに有効という訳ではない。それはヒットさせた後のターゲットがどんなファイトをするかによって左右される。

 たとえば潜って逃げるだけの魚ならば、それほど問題は無い。しかしエラ洗いのようなジャンプを繰り返す魚だと、ラインを弛ませることによってバラシが多くなる可能性もあるのだ。

 もちろん手馴れたアングラーには関係ないだろうけど、慣れてないとジャンプであっさりバラシな〜んてことも十分に考えられる。自分自身のロッド操作に自信があれば、バーブレスフックにもチャレンジしてみる価値はあるだろう。

 まずは習うより慣れろ。その言葉どおり、実際にどの程度の違いがあるのか、安全面も意識してバーブレスフックに挑戦してみよう。


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