このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
164号 に掲載された記事です

ドラグ調整のやり方

前回まではタックルに絡めた内容を話してきたけど、今回からは実際に釣り場で役に立つことを紹介していこうと思う。ランダムに思いつくままで、様々なノウハウを話していくよ。ちょっとした気遣いで、より安定したゲームを楽しめるように頭に入れておいてね。

 早速だけど、みんなはリールのドラグって知っているよね。スピニングリールだったら、一般的にはスプールの上側でスプールを固定するのに使っているよね。あの部分に付いているやつを、フロントドラグって呼ぶんだ。

 たまにリールの下側に付いているのがあるけれど、それはリヤドラグって呼ばれている。スピニングリールならどっちかにドラグノブが付いていると思っている人もいるかも知れないけれど、実はそうじゃないんだよ。その話もしておこう。

 まずは磯釣りなんかで使われているスピニングリールで、レバードラグと呼ばれているものがある。これはハンドルが逆転できるようにフリー化することで、抵抗を減らして細いラインでも魚とやり取りができるようになっている。そのレバーの締め具合によって、ラインのテンションを調整するアングラー主体のドラグと言えよう。

 それから投げ釣りの本格的な大型スピニングリールだけど、これにはドラグ機能が搭載されていない。とにかくスプールをリール本体へ固定するための、単純なネジとして使われている機構部品だ。投げ釣りの場合には、フロントドラグである限り付けられないし、必要の無い機能であるともいえる。

 その理由は、投げるときにドラグが働いてしまうと、ラインが指の上を滑ってしまうからだ。そうなると試してみなくても分かるように、細いラインが指に食い込みながら滑ってしまい、その勢いで指はパックリと割れるように切れてしまう。

 これは投げ釣りの話として紹介したけれど、実はスピニングリールのドラグ設定において、とっても大切なことなんだよね。つまりドラグのゆるい状態で重いルアーをキャストすると、投げ釣りと同じような状況に陥ってしまうってこと。

 ここでドラグ調整の前提条件として、最も重要なことを話しておくことにしよう。前記のように、緩すぎると自分の指をケガしてしまう。だから指に力の負担がかかるようなタックルを使うときには、ラインが細いからといって緩めすぎるのは考え物だ。

 特に最近は大きなメタルジグを使って、サーフで細いラインによる遠投をするアングラーも多くなってきている。これは最も危険な状況に陥る可能性があることを、ドラグ設定要因として頭に入れておいてもらいたい。まあある程度は投げ方によってもごまかせるけど、ケガだけはしないように楽しもうね。

 さて、次にドラグ調整のやり方を話しておこう。大雑把なやり方は、色々な本などで紹介されているから分かるかな。目安としては、ラインの強度を基準にして、その1/3〜1/4くらいでズルズルとスプールが逆転する程度にしておく。

 たとえば9kgで切れるラインを使うとして、1/3に設定するなら3kgで引っ張ったとき、ズルズルとスプールが逆転するようにすればいいんだ。もちろん自分のリールに巻いてあるラインの強度は、自分でちゃんと確認しておかないとダメだね。

 ちなみにボクはナイロンラインなら1/3目安にするけど、突然の衝撃力で破断しやすいPEラインを使うときには、ちょっと弱めの1/4設定にしている。この測定には、バネばかりや、ボウズから発売しているドラグチェッカーを使う。最も慣れてきちゃったら、自分の手で引っ張り出して調整しちゃうんだけどね。

 これらのドラグ調整で忘れてならないのは、ちゃんと使うロッドにセットして、ガイドにラインを通した状態でやることかな。ガイドのすべり抵抗などもあるから、極力実際のフィールドと同じ状態で行うことに意味がある。

 できることなら釣り場で釣り始める直前が望ましい。ドラグワッシャー部分は湿気に左右されることもあるので、微妙な部分を要求するアングラーには、現地で釣りながら何度も確認することをオススメしたいものだ。ラインブレイクは、魚にもかわいそうなんだからね。


戻る