このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
166号 に掲載された記事です

ランディングで失敗しないためには?

今回は、ランディングについて話してみよう。ヒットさせたターゲットを、頑張ってやり取りした末に、無事手元にキャッチすることを、アングラーの世界ではランディングと呼んでいる。

 寄せてきたターゲットをバラスことなく無事に手元へ取り込むことは、簡単なようで実は難しい作業だと思う。過敏になって丁寧すぎても失敗しやすいし、雑に扱うと逃げられてしまうことだってある。そうなってしまうと、「最後の詰めが甘い!」などと言われてしまうだろう。

 これがフックアウトして逃げられてしまうなら、ターゲットにとっては幸せかもしれない。無事に逃げることができるのだから。しかしラインブレイクなどで逃げられると、場合によっては以降の捕食すらできない状態で自然界へ戻すことにもなりかねない。

 中途半端とならないようにするのも、アングラーとしての意識の持ち方ではないかと思う。特にリリースを意識しているアングラーであるならば、その考え方と行動を徹底するべきだと思う。むやみに繊細すぎるタックルで長時間をかけ、弱ったターゲットをリリースするなど、問題外の話だと思う。

 さて、ランディングするときの「無事に!」という表現の中には、ターゲットをバラシてしまわないための話しと、アングラー自身に怪我などのトラブルを起こさないという2つの意味を持っている。どうなるとバラシが起きて、どうしたらアングラーが危険な状況に陥るのか、そういった状況分析を理解しておく必要があるだろう。その辺りを少しばかり話しておくことにしよう。

 まずは安全面。普通に考えれば分かると思うけど、大別して2つの危険がある。ひとつは取り込もうとしている最中に、フックが外れてアングラー側へ飛んできたとき。これは当たり所が悪いと大変なことになるだろう。目に当たれば失明だし、フックが刺されば外すのは大変で出欠も免れない。

 刺さったフックを外すことを考えると、やはりバーブレスフックが安心度は高い。そして顔や頭に向かって飛んできた場合を考えると、帽子やサングラスの着用は、常識として理解しておいたほうがいい。

 もうひとつは足場の問題だ。ランディングする場所を決めてから、釣り場へ立つことを心掛けているだろうか。ヒットさせることだけを意識するあまり、足場の悪さを後から認識させられるケースもある。そこで無理すると、海へ転落したり、サーフだったら波に足をとられる危険もあるはずだ。

 所詮は遊びの釣りなのだから、自分で自分の身を守ることは最優先として考えたい。常に「ここでこんなことが起きたら自分はどうなるか?」などを意識して、安全面には過敏すぎるほどの注意を!

 では、前記の無事にランディングするための話しに移ろう。バラシを激減させるためには、とにかく一連の無駄が無い動作を意識したい。いざランディングの段階になってからアタフタするようでは、せっかくヒットさせたターゲットをバラスばかりか、自分自身が危険な目に遭遇する可能性だってある。

 ランディングの成功率を高くするための基本は、やはり何と言っても段取りだろう。近くまで寄せてくれば、「ここから抜き上げればいい」とか、「玉網ですくえる」といった心構えができていれば、自ずと心にも余裕ができる。それが結果として、安定したランディングにつながると肝に銘じておきたい。

 段取りに心配なければ、あとはランディングの瞬間にバラシを起こさないためのコツを体で覚えるようにすればいい。たとえば玉網ですくうなら、玉網を手にする瞬間に、ラインが弛まないように意識して練習するとか、せっかく浮かせたターゲットを、再び潜らせてしまうような失態は避けたい。

 最後の詰めで再び走られてしまうと、またリールを巻かねばならない状況に陥ってしまう。すると玉網を置いて、再びリールを巻く。そこからまた玉網を持つことになる。これを繰り返すようだと、どんどんキャッチ率は低くなってしまう。こういったわずかなことでも、よりスムーズに作業をこなせるように、常日頃から意識しておくようにしたい。より確実に、そして安全に!


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