このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
167号 に掲載された記事です

大物を短時間で寄せてくるコツ

ルアーアングラーならずとも、アングラーであれば誰しも夢見るのが大物との遭遇だ。狙って大物を釣るテクニックもあるけれど、通常は偶然の産物であるケースも多い。そんな数少ないチャンスをモノにするためにも、大物とのファイトを成功させる何かを知っておきたい。

 大物を専門に狙っているときであれば、ちょっとぐらい強引なファイトを楽しんでも大丈夫。だってそういう目的でチャレンジしているんだったら、当然タックルだって大物用のモノを使っているはず。大物の力には、パワーのあるタックルが有効であることは言うまでもない。

 一般的には硬くてトルクのあるロッド、そして簡単には切られそうに無い太くて強いラインを使って釣るはずだ。しかし警戒心の強い大物ほど、そんな太いラインを使った仕掛けには、なかなか思ったようにヒットしてくれないことも事実だ。

 そうなると細いラインを使うアングラーも多くなり、自分のテクニック限界を超えるとラインブレイクという、ヒットしたターゲットにもかわいそうな結果を残してしまうことになるのだ。そうならないためにも、より確実にキャッチする術を知っておきたいものだ。

 更にキャッチ&リリースを前提に楽しんでいるアングラーであれば、キャッチするまでの時間にもこだわっておきたい。あまりにも長時間でファイトしてしまうと、弱りきってリリースしても生き延びる可能性は低くなってしまうからだ。

 そんな理由から強固なタックルを使うアングラーもいるけれど、ヒットさせやすい常識的なレベルのタックルシステムを使いたいのはアングラーの本心ではないだろうか。そのために、常に自分のテクニックを磨いておき、いざという時のために備えておきたいものだ。

 まずはターゲットを釣っているときの状況から、その処理の考え方について話していこう。それを理解できれば、あとは実戦経験でそれを確かめてやればいい。とにかくファイトからランディングまでのテクニックは、最低限の知識と経験がモノをいうはずだ。

 たとえばジギングで一生懸命ジグをシャクリ続けていたとしよう。そこに待望の「ドカンッ!」という衝撃がくる。ハイスピードで誘い上げていく種類のジギングであれば、ヒットの瞬間、ターゲットは上を向いている。つまりリールを巻いているアングラーの方向に頭が向いているのである。

 この状態を、とにかく大切にして欲しい。つまり上を向いて泳いでいる状態から、反転するまでのタイムラグを作らせないことの重要性なのだ。反転されてしまったら、その魚の頭を再び上に向けさせるのは難しい。だから引っ張り合いになって、キャッチまでに時間が掛かりすぎてしまうのだ。

 ここで言いたいのは、ヒットした瞬間に間髪入れず、とにかく巻けるならガンガン巻いてしまおう。その勢いにつられて、よほどのことが無い限りある程度は寄せられる。根周りでヒットする青物などは、特にこの方法が有効になるはずだ。

 次にキャスティングで大物をヒットさせた場合、シイラなどが話としては分かりやすいだろうか。比較的ヒットの頻度も高いので、ファイトの練習相手にはちょうどいい。オフショアで夏のシイラ船に乗ったら、試してみてもらいたい。その方法とは、ロッドの向きだ。

 ヒットした魚は、引っ張られる方向と反対へ逃げようとする。それはごく当然の成り行きだと思う。一般的なアングラーは、引っ張られていかないように、反対側へロッドを寝かせているだろう。たとえば右に走られたら、ロッドは左に寝かせているはず。これだと魚のパワーとの対決だけになってしまう。

 そこで試してもらいたいのは、その逆の行動なんだ。右に走られてしまったら、ロッドも右へ寝かせてやる。つまりわずかではあるけれど、魚が引っ張っていこうとする対抗意識を和らげてやるのだ。そうすると強引に引っ張られなくなるので、今度は左に走ってくる。そうしたら左に寝かせてやる。

 このようなテクニックを使うと、いつのまにかラインは徐々に巻き取られているはず。引かれた方向に寝かせるとき、とにかく巻けるだけ巻いてみて欲しい。


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