このページは 週刊テレビから発刊されている Hello Fishing
169号 に掲載された記事です

潮回りによる釣れ具合はどう違うか?

今回はみんなが気になっている、潮回りについて話してみよう。サンデーアングラーには、この潮を選んで釣りに出掛けることは難しい。だけど知っているのと知らないのとでは、釣行でのポイントや時間選定に大きな影響を及ぼすことがある。

 その前に潮回りってどんなことを言っているのか、本誌の読者は分かっているよね。大潮とか中潮とか呼ばれているあれだよ。この潮によって、その日の潮高や干満差、潮の動きなんかが違ってくる。

 たとえば大潮は一般に潮の動きが良いとされていて、満潮と干潮の潮高差が最も大きい。そして中潮、小潮になると、徐々にその差が小さくなってくるんだ。潮の動きも同様に小さくなり、長潮や若潮ではほとんど動きがないとされている。

 一般に「潮が入れ替わる」とは、この潮回りのことを示す。大潮に始まって、順番に若潮へ動く。この若潮が潮の生まれかわり(入れ替わり)を意味していて、再び大潮方向へと新たに変化していく。

 ときどき「潮が変わればまた釣れだす」という話を聞いたことがあるだろうけれど、このことを言っているんだ。特に回遊性の強い夏から秋にかけての青物などは、これが強く現れるケースが多いようだ。つまり潮の動きが良いタイミングに釣りをしたほうが、より魚に出会える確率が高くなると思っていい。

 但し例外もある。普段から潮流の激しいエリアでは、潮が弛んでいるときに捕食が集中することもあり得る。つまり大潮よりも小潮、もしくは長潮や若潮といった、一般に好まれにくい潮が良いこともある。潮が速すぎて捕食しにくいため、潮止まりの時間帯に捕食するしかないということが起きていると言える。

 次に潮の上げ下げについて話しておこう。どの潮回りの日でも、満潮と干潮に向かって、それぞれ潮の上げ下げという現象が起きる。これはつきの引力によって起きると言われており、潮の道ひきも魚の捕食に影響しているようだ。

 たとえばボクが好きなエリアのロックフィッシュ(カサゴやムラソイなど)は、潮が下げている最中のアタリが少ない。しかし干潮から満潮に向かって潮が上げ始めると、同じ場所なのに突然アタリが出始めるといった現象が起きる。

 詳しい理由は分からないが、魚種や場所によって、このようなことが当たり前のように起きている。自分が狙う魚の生態とは、こういった部分を認識しておかないとあまり意味がない。人より釣果をあげようと思ったら、このような自分だけのデーターを持つことが重要なのだ。

 そして更に重要な意味を持っていると思うのが、潮回りと干満差によって起きる潮高だ。たとえば大潮の満潮と干潮とでは、最も潮高差が大きい。特に春先の潮干狩りで海辺が賑わうシーズンが、この干満差の最も大きくなるときでもある。

 それとは逆に、潮の動きが悪い長潮や若潮では、潮位の差が極端に小さくなる。潮高の高い満潮時にはそれほど気にならなかったとしても、潮高の下がる干潮時には大きな問題となることがある。それはポイントの変化だ。満潮時には海の中だとしても、干潮時には水がなくなる場所もある。魚種によっては、これが影響することも多い。

 分かりやすい例を挙げてみると、アオリイカが話しやすいかな。春先の産卵時期に、アオリイカは岸近くの海藻に産卵する。つまりそのエリアがネスト(産卵床)になる。ところがアオリイカも、潮が引いて水のなくなるような場所には産卵しないはずだ。

 だからいくらアオリイカの潜んでいそうな藻場を攻めたとしても、そこにはいないケースも多いことを知っておきたい。このように潮高により釣れ具合が変わることもあると知っておこう。

 ロックフィッシュにも、似たような現象が起きる。満潮時は散らばっていた魚も、干潮時にはカケ上がりの裏側に魚が集まり釣りやすくなることがある。海は様々な自然現象が関係してくるので、どんどん知識を吸収して、自分のレベルを高めていきたいものだ。


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