1996年1月号 九州メッキロードを行く

 メッキを釣りに九州まで行ってきたゾ〜。こんな話を聞いたら皆さんはどう
思います?
『バッカじゃね〜の。メッキなんて関東でも釣れるだろ』
『まったくだ。メッキは手軽に釣れるのがいい所なんだから、わざわざ関東か
ら九州までメッキを追いかけていくなんてバカげているヨ』
 まあ普通の人はそう思うでしょうねェ。しかし、自分のテクを磨くためには
出来るだけ多くのフィールドに通って、様々な状況に対応できるようにならな
ければいかんと思う今日この頃なのでありま〜す。

 そこで、どうせ行くならひとっ飛び、九州まで行ってやれっ…となった次第
なのであります。場所は九州でも有名なメッキの釣り場が多い長崎を狙い、九
州と関東のメッキの違いを見てこようとなったわけなのですヨ。
 オマケにどうせ九州まで行くんだったら鹿児島の錦江湾まで行ってオフショ
アのバーチカルジギングも楽しんでくるといった贅沢三昧な企画なのでした
(ちょっとハネを伸ばし過ぎたような気もするけど…)。

 噂では九州は魚影が濃く、至る所でバホバホ入れ喰いナンテ話も耳にするけ
ど、さてその実態はイカなるモノでしょうか…?
 そこで初めてのフィールドで右も左も分からないのでは行ってもアホらしい
ので、最近ルアー部門でも快進撃中の九州・佐賀に本社を構えるヨーヅリさん
にお邪魔して、長崎のメッキと錦江湾のジギングを案内していただくことにム
リヤリしてしまったのです。案内役をかって出て下さったのはルアー関係の開
発を担当されている方々で、若くてとっても活動的だ。当然のことながら実戦
経験やテクニックも抜群なのであります。従ってボクたちも釣れて当たり前と
いった気分で望みました。

 心強い案内役も出来て、待ってろヨ、九州のターゲットたち…といった具合
に釣行スタートとなったのであります。
 初日のメッキ狙いは、の〜んびりムードで佐賀を出発して、釣り場に着いて
キャストを始めたのは10時近かった。ここは河口部の右岸にある小さなワンド
状の砂浜で、ウエーディングが釣果を上げる秘訣とのことであった。よくよく
事情を聞いてみるとサーフライン付近はダラダラした浅場で、ある所から急な
カケ上ガリになっていてメッキはそこを回遊している。干潮時のウエーディン
グの方が釣りやすいらしい。
 事前情報によると、この場所では数日前にも数え切れないほど釣れたとのこ
と。

 もう一ケ所の釣り場は河口がそのまま港になっている場所で、その河口部が
ポイントらしい。しかし、時折メッキの物凄いナブラが出るのだが構えててル
アーをキャストした時には既に静まり返っている。とってもシブイッ!
 結局潮が引いてから水深が浅くなり、河口脇の溜まりのような場所にメッキ
の群れを発見。しかしこれがまたシブイ。最初の砂浜でもそうなのだが、何故
かメッキたちは水面にしか興味を示さず、しかもルアーをセレクトしてくる。
 ヒットルアーはヨーヅリのポッパー・タイニーティップとデュエルのミノー
でトゥイッチング専用モデルのアイルTCである。沈んでいるルアーにはミノー
も含めて全く反応してくれないのだ。

 いつもはこんなにシブイ事は無いとの話であったが、ボクなりに考えてみた
ことを挙げてみよう。
 ひとつは河口部の流れがある場所を狙うことが多く、しかもボトムが見えな
いくらい水深が深いということ。すなわち、ルアーの存在を強烈にアピールす
る釣り方が主流になるのではないかと思う。
 もうひとつはメッキが極端にルアーによるプレッシャーにスレているという
印象を受けたこと。こちらでは誰かがあるポイントを雑誌などで紹介すると
ドッとルアーマンが押しかけて、一日中同じ場所で粘ってしまう傾向があるら
しい。ほとんどのルアーマンは関東と違って自分だけのポイントを探すという
行為をしないようだ。

 メッキはいるけどみんな釣れてないのはこういった事が原因になっているの
ではないだろうか。もっと他にもいいポイントがあるのに、ナンデ自分で探さ
ないのだろうと思うのだが…。
 もっと手軽に遊べるターゲットのはずなのに、これでは釣れないターゲット
のレッテルが貼られそうな気がしている。人によっては九州のメッキはシーズ
ンが終わったと考える人も居るようだが、みんなの釣り方次第でもっともっと
長い期間をみんなが同じように楽しめるはずだと思う。実際今回の取材の間
に、我々以外のルアーマンがメッキをヒットさせる姿をとうとう一度も見るこ
とがなかった。

 そこでボクが九州のルアーマンに提案したいのは、プレッシャーを極力少な
く出来る釣り方だ。例えばひとつのポイントではルアーのキャストは10回くら
いとし、どんどん他のポイントに移動する。回遊を待って釣る今の釣り方は確
かに群れに当たれば凄いけど、自分たちで考えてメッキの行動パターンを読み
メッキの居るところを狙っていく。こうすればメッキに与えるプレッシャーも
少しは軽減され、ルアーマンにポイントを探す楽しみも出てくると思う。 九
州にはまだまだ未開拓のポイントが多く、十分ボクたちを楽しませてくれる。
但し、今回のように適切なアドバイスをしてくれる人が居なかったら難しいだ
ろうネ。海外のように、釣らせてくれるガイドがいるといいなァと思うので
す。九州でそれが出来るのはヨーヅリさんしかいないでしょう。是非頑張って
いただきたいものです。立てっ、立つんだジョォ〜(関係ナイカ…)。

 まあ、こんな感じで九州・長崎のメッキ釣行は幕を閉じたのでした。 
エッ?錦江湾のジギングはどうしたかって?!もちろんバッチリでしたよ。ビッ
グサイズこそ出なかったけど、カンパチだの何だのって関東では考えられない
ほど凄かった。とうとうクール宅急便のお世話になってしまったのでした。
 ア〜、楽しかった。