2009.07  Vol.3 ピンズミノー



今回は、ボクが海のライトルアーを楽しみ始めた、そのキッカケになったマイクロミノーを紹介するよ。本来はフレッシュウォーターで使うためのミノーなんだけど、ここから海のライトターゲット専用マイクロミノーへの展開が始まっていったんだ。


 またまた今回も、ずいぶんと古い話で申し訳ない・・・な〜んて、思ってないんだけどね。海のライトルアー創世記に、ボクが一番多く使っていた、マイクロミノーの話をさせてもらうね。

 もう随分と前の話になるんだけど、ソルストで掲載された「西伊豆メッキロード」って覚えている人は多いよね。いまでも「自分のバイブルです」な〜んて嬉しいことを言ってくれる読者の方も多くいらっしゃいます。

 その頃は、まだ海のライトルアーを本格的に紹介し続けているライターさんはいなかった。そんなとき、嫌がる今の編集長を口説き落として掲載したのが、これらのタイミングで掲載を続けたライトルアーの話題なんだ。

 これが思いのほか大当たりだったようで、もの凄い反響を得られたことを懐かしく思い出す。ボクにとって、とっても思いの詰まったライトルアー出発(たびだち)の頃でもあった。

 実はこの頃にライトルアーで取材に使っていたマイクロミノーが、今回紹介するヨーヅリ(現デュエル)のピンズミノーだ。ボクの記憶では、この年は夏の異常渇水が問題になり、渓流での釣りがほとんど無理といってもいいほどだった。

 そんなときタイミングよく、海のライトターゲットにも使えるんだということを誌面で広く伝えることができた。メーカーさんとしては、渓流用にルアー販売ができにくい状況だったところに湧いて出た話なので、まさに「渡りに船」という状況だったと聞いていた。

 もちろんこれは、デュエルさんに限らず、どこのメーカーさんにも言えること。他にもメーカーさんの息がかかったライターさんは存在していたので、マイクロミノーがどんどん売れていたのを覚えている。

 本誌に掲載された西伊豆メッキロードにおいても、マイクロミノーでの釣果は、すべてこの「ピンズミノー」に頼っていた。その当時は重心移動システムなどもなく、それでも実釣レベルで不便を感じることもなかった。

 この頃のメッキを始めとする海のライトターゲットたちは、キャストすれば毎回チェイスしてくるほどに魚影は濃かった。今みたいにアングラーは多くなかったので、どこへ行っても釣り放題みたいな感覚もあった。

 これがアングラーの急増につれて、あと少し飛距離が欲しいとか、状況によってレンジ攻略を駆使したいと思うようになってきた。スレてくると、よりキビキビと動かしたくなってくる。

 これらを打破しようとして、デュエルさんとレンジ別のシステム攻略を基本としたマイクロミノーの開発を始めたってわけ。もちろんいくらソルトのライトルアーが盛り上がったとはいえ、その器は極端に大きいわけじゃない。だからこの時点では、「アイル」シリーズとしてフレッシュウォーター向けという市場での位置づけだった。

 ボクにとっては、メーカーさんと最初の市販モデル開発だった。当時の開発担当者との思い出を含め、市販されたときに感慨深さは忘れられない。

 のちに「ソルティーアイル」というソルト向けモデルも発売されたが、ボクにとっては初期のものが一番のお気に入りだった。このベースとなったのが、「ピンズミノー」だったことは言うまでもない。

 そして現在も販売しているストゥープへとモデルチェンジして、アイルマグネットとしてアイルシリーズのDNAを引き継いでいる。ちなみにフレッシュウォーターモデルといっても、現実にはソルトで使いやすい50mmサイズは、メッキやカマスといったターゲットを強く意識したセッティングにさせていただいた。

 ピンズミノーは、ボクにとって懐かしいといった類いよりも、ボクにソルトライトルアーの面白さを教えてくれた、先生みたいな位置づけのマイクロミノーでもある。そして今年になり、トビマルと同じように市場へ劇的な復活を遂げたのであ〜る〜。

 同じタイミングでヨーヅリブランドのルアーがたくさん復活したけれど、その中でも安価でアングラーを助けてくれた、「釣れるルアー」でもある。ミノーの基本的な操作であるトゥイッチングでも、アングラーを育ててくれるミノーなんじゃないかと思えてならない。

 こうなってくると、次のマイクロミノーにも大いに期待したい。次はどんなドラマを作ってくれる、素晴らしいルアーが世に出ることだろうか(^^)


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