2009.10  Vol.6 アームズペンシル(シルバードッグ75)



ブラックバス用のペンシルベイトとして市場に出ていたアームズペンシルは、独特のドッグウォークでボクの好みのアクションに味付けされていた。これがソルトルアーのターゲットにも効果抜群で、南の島でも大活躍してくれた。


 このアームズペンシルは、世に数あるペンシルベイトの中でも、ボクにとって理想的なアクションを見せてくれるルアーだ。しかもバス用のルアーであるにもかかわらず、ソルトルアーで大活躍してくれた。

 実は以前から、手漕ぎボートでルアーを投げるときに使っていた。ターゲットは、もちろんシイラだ。前にSBの話をこの連載で紹介したけれど、このアームズペンシルも好んで使っていたルアーなんだ。

 当時はルアーインプレッションの記事を書くチャンスが多くて、色々なメーカーさんのルアーをスイムテストさせてもらった。ペンシルベイトはバス用だけじゃなく、シーバス用にも数多く市販されていたのを覚えている。

 それらの中にひとつ、あるメーカーの製品で、飛びぬけてバランスがいいペンシルベイトがあった。取材テスト用なのでもちろん返却してしまったけれど、それが忘れられずにいた。お世話になっているデュエルさんにも、「ソルト用のペンシルがあればな〜」と思っていた。

 そこで以前からバス用として市販されていたアームズペンシルを取り寄せて、念のためソルトで使ってみようと思った。もちろんバス用ということで、フレッシュウオーターとの比重差でアクションは期待していなかった。

 ところが思いのほか汎用性が高く、ボクの思っていたアクションを見せてくれた。意のままに操れるというのは、まさにこういったことを言うのだろう。期待していなかっただけに(デュエルさん、ごめんなさい・・・)、このときの感激が今でも忘れられない。

 それからは手漕ぎボートだけじゃなく、オフショアでライトタックルを使ったシイラフィッシングでも、このアームズペンシルの登場回数は多くなってきていた。もちろん他のオフショア用ルアーに比べれば小さくて軽いので、風の影響は受けやすい。使用する条件は限定となるのは当たり前。

 それでも手漕ぎボートを中心に活躍して、シイラやサバをターゲットに十分な楽しさを味合わせてくれた。そしていつしか廃盤となってしまい、ボクもラインの先へこのルアーを結ぶことがなくなってしまっていた。

 ボクのアームズペンシルとのつながりは、この時点で途絶えてしまった・・・と思っていた。もう廃盤だし、宣伝を意識して遣うことも無いのだろうな・・・と。

 ところがひょんなことから、このルアーを思い出すきっかけがやってきた。数年前にソルスト誌面で紹介させていただいたけど、ボクにとって初めての南の島遠征。そう、石垣島でのショア釣行だ。

 誘っていただいた友人の話によると、そのときボクが釣りたかったミナミクロダイは、極端なシャローエリアがポイントになっているとのこと。ミノーも潜行能力の高いものはダメだと言う。

 しかもしっかりスイミングするミノーは、それほど反応が良くないと聞いたので、アイルシリーズだと難しいかもしれない。そして思いついたのが、シャローで狙うのであれば、そんなときこそトップウォータールアーだ。

 久し振りに引っ張り出したアームズペンシルが、「おい、久し振りだな〜。早く使ってくれよ〜」と呼びかけているようだ。この時点で、アームズペンシルがミナミクロダイ狙いのパイロットルアーとして、ボクの気持ちは固まっていた。

 そして結果は、意外なほどあっさりとヒット。何度かのチェイスの後に、グッドサイズのミナミクロダイを引きずり出すことに成功した。白いキレイな海底なので、ベイトとなるものも白っぽいかもと思い、チョイスしたのもホワイトだ。

 予想通り、そして期待通りの結果を導き出してくれたアームズペンシルこそ、ボクの中では現時点でのベストペンシルだ。忘れられない南の島の思い出を、こうして書き加えてくれた大切なルアーなのだ。

 このアームズペンシルたちは、そして再びボクの一軍ルアーへ・・・とはならず、大切に仕舞われた。次のチャンスまでの、充電期間として無くさないように。なんせ廃盤のルアーなのだから・・・。

 そして数年たった今年、ほぼ同じ姿かたちで、新たなルアーとして生まれ変わり新発売された。それがシルバードッグ75だ。デュエルさんがボクの気持ちを察したのか、それとも必要になってシーバス用に満を持して発売する気になってくれたのか・・・。

 いずれにしても、ボクにとっては新たな思い出を作り出すルアーが命を吹き込まれた。次回の釣行では、これをパイロットにしてみよう。


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