2009.11  Vol.7 グラスミノー



ベーシックなソフトルアーとして、長い間アングラーを楽しませてくれている。グラスミノーは、ボクだけじゃなく、多くのアングラーにとって思い出のあるルアーではないだろうか。当時はジグヘッドリグを使いこなし、マゴチを中心にキャッチさせてくれた。


 ボクにとってのグラスミノーは、一風変わった思い出がある。それはまだ、アングラーの間でインターネットがそれほど普及してなかった頃の話だ。

 ソルストの1996年11月号で、日立港のマゴチを紹介する機会があった。この頃はマゴチを専門に取り上げている誌面もあまりなく、シーバス狙いのゲストとしてヒラメと同様に扱われている程度だった。

 もちろんボクも本気で狙っていなかったけれど、ひょんなことからマゴチ狙いで通い詰めることになったことがある。それは、その当時に仲間たちと始めた、インターネットのホームページがキッカケとなったのだった。

 まだそれほどインターネットが認知されてない頃だったので、サーバーの管理費用などを捻出する必要があった。常に誰かが更新できることを目標としていたので、サーバーのレンタル容量もかなりのサイズだったと記憶している。

 このサーバー費用を何とかするために、ショップやメーカーさんからの広告をお願いしようと考えたのであった。もちろんその頃はインターネットの効果など理解できる人も多くはなく、品物の提供はできても金銭での費用は無理というのが当たり前の時代だった。

 そんな今からは考えられないような状況の中で、たまたま「日立フィッシングセンター」さんへ飛び込みで広告のお願いに伺うことになった。もちろんお店の紹介ページも作成し、日々の釣果情報を提供していただいた。

 パソコンを持っている人は少なかったので、情報のアップもファックスでもらったものをボクがアップする日々が続いた。それでも徐々にアクセスも増え始めて、「日立フィッシングセンター・サウス店」へと立ち寄らせていただく機会ができたのだった。

 実はこのときに地元の友人たちから情報をもらっていて、マゴチが目の前の埠頭で釣れたという。せっかくだから、釣りも楽しんできちゃおうという2つの目的で、日立港を目指したのであった。

 しかしこの時は、かなり強い雨に見舞われてしまったこともあって、実際に釣りをしたのは少し後のことになる。そして友人たちと数人で、「マゴチなんてホントに釣れるのか〜?」という半信半疑のまま釣り場へと立った。

 そのときに使ったルアーが、1/8ozのジグヘッドにグラスミノーMのグローをセットしたものだった。当時から人気のあったソフトルアーなので、ヒットの確率を少しでも高めようとの考えだ。

 ところがフタを開けてみると、18時〜19時の間に、参加したメンバーにマゴチがどんどんヒットしてくる。40〜60cm級の良型が、5人で30尾ほど釣り上げられた。

 川の流れと上げ潮が合流して、その伏流が手前のテトラ帯に当たっていた。あとで考えたら、これってベイトの集まりやすい条件だったんだろうね。そのテトラ際の足元に群れが接岸していたようで、そこにヒットポイントが集中していたのが印象的だった。

 この日は驚くような釣果を出すことができて、みんなも意気揚々と引き上げたのだった。結局このような日々が延々と続き、6月に始まったこの珍事?は、夏の間の「真夏の夜の夢」だったようだ。

 その後のシーズンには、これほどの釣れっぷりはないにしても、地元の友人は毎年のように通ったと聞いている。しかしボクがグラスミノー信者になるのには、これ以上の理由は必要なかった。

 もちろんミノーなどのハードルアーでも釣果を楽しんだが、この頃からソフトルアーの魅力もたっぷりと味合わせてもらうことになった。カサゴ狙いのナイトゲームで、2インチ以下のソフトルアーを使うことが多かったボクなのだけど、これを境にちょっとだけ大きめも使うようになった。

 エコギアの担当者の方とは、エコギアブランドが立ち上がる前からお付き合いさせていただいているが、こんな面白いものを市場に出していただけたことに感謝だ。おそらく同じような気持ちを持っているアングラーは、ライトアングラーに限らず多いんじゃないかな。

 それ以降は、エコギアブランドのソフトルアーにミノーやパワーシャッドがマゴチやヒラメ向けとして人気のルアーとして知られている。いつしかマゴチやヒラメは、ソルトルアーアングラーの人気ターゲットになっていたんですね。

 古き良き時代のルアーフィッシングの、楽しい思い出を作ってくれたルアーのひとつです。さ〜て、釣りに行きたくなっちゃったな!


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